【上賀茂神社】賀茂競馬(かもくらべうま)

「賀茂競馬」は、「打毬(だきゅう)」と「狛鉾(こまほこ)」の舞楽装束の「乗尻(のりじり)(騎手)」が、上賀茂神社の「埒内(馬場)」を駆け抜けて「競地(きょうち)(競馬)」を行い、その勝敗で五穀豊穣を占う行事です。
約200mの馬場を2頭の馬が疾駆する姿は壮観で、毎年5000人近い観客が見物に訪れます。
その歴史は古く、徒然草にも記述が見られ、足利義満や織田信長も見物したと云われています。
また「京都市登録無形民俗文化財」にも指定されています。

■賀茂競走の次第


「賀茂競走」は、「埒内(馬場)」を馬が走るだけではありません。
当日の08:00頃より多くの見所のある儀式が行われています。

■賀茂競走の次第①「前儀」


「前儀」は、「乗尻(のりじり)/賀茂競馬で馬に騎乗する騎手」が上賀茂神社の「庁屋」に集まり「競馬差符の付与」や「奉の返礼」などを行います。

前儀が終わると乗尻たちは「頓宮遷御の儀」と「菖蒲の根合わせ」に臨みます。

08:00頃乗尻庁屋出仕乗尻が庁屋に出仕する
08:30頃競馬差符の付与催奉行が競馬差符(名簿)を乗尻に渡す
08:50頃奉の返礼乗尻が「奉」の字を加え返す

■賀茂競走の次第②「頓宮遷御の儀(とんぐうせんぎょのぎ)」


「頓宮遷御の儀(とんぐうせんぎょのぎ)」は、上賀茂神社の神様の御分霊が本殿から「内埒(馬場)」に設けられた「頓宮(とんぐう)」に移動される儀式です。
「頓宮」とは神様の仮のお住まいで「仮殿」や「御旅所(おたびじょ)」とも呼ばれます。
本殿の神様が「頓宮」に移動されるのは、神様により賀茂競馬を近くで見ていただく為です。

「頓宮遷御の儀」が終わると、乗尻たちが「菖蒲の根合わせ」を行う為に、頓宮前に参進します。

08:55頃頓宮遷御の儀上賀茂神社の神様の御分霊が本殿から「内埒(馬場)」に設けられた「頓宮(とんぐう)」に移動される儀式です。

■賀茂競走の次第③「菖蒲の根合の儀(しょうぶねあわせのぎ)」


「菖蒲の根合の儀(しょうぶねあわせのぎ)」は、元は平安時代の殿上人・女房が菖蒲の根の長を競った遊びで、宮中で「貝合わせ」「歌合わせ」等と同様に行われていました。

乗尻が「頓宮」の前で菖蒲の根の長さを競い、お互いの菖蒲を「取替(交換)」した後、四つに折って勝負の予祝を行います。

乗尻は当日全員が菖蒲を身に付けますが、これは「菖蒲」が「勝負」に通じているので縁起を担ぐ為です。

「菖蒲の根合の儀」は「頓宮」の前と、さらに本殿前にある「棚尾神社」でも同様に行われます。

「頓宮」での「菖蒲の根合の儀」が終わると、乗尻が本殿に移動しますが、後をついて「棚尾神社」前での「菖蒲の根合の儀」も見学することができます。

09:00頃菖蒲の根合の儀(頓宮)頓宮前で「菖蒲の根合の儀」を行います。
09:10頃菖蒲の根合の儀(棚尾神社)棚尾神社前で「菖蒲の根合の儀」を行います。

■賀茂競走の次第④「足洗いの儀(川立て)」


「足洗いの儀(川立て)」は「ならの小川」の清流で馬の脚を清める儀式です。

11:45頃足洗いの儀「足洗いの儀(川立て)」は「ならの小川」の清流で馬の脚を清める儀式です。

■賀茂競走の次第⑤「馬立の儀」


「馬立の儀」は乗尻が馬に騎乗し、上賀茂神社に集まる様子を再現する儀式です。
乗尻たちはすでに「菖蒲の根合の儀」などで上賀茂神社にいますが、一度上賀茂神社から外にでて、馬に騎乗し、そして上賀茂神社にやってきます。
二度手間感が否めませんが、「菖蒲の根合の儀」が同日に行われていなかった時代は、馬に乗って乗尻が上賀茂神社にやってくるところから賀茂競走の次第が始まったので、その当時の様子を再現しているのです。

11:15頃になると乗尻が庁屋で「菖蒲の根合の儀」から「賀茂競馬」の衣装に着替えを行います。

11:50頃に着替えが終わると、庁屋の前で整列した後、上賀茂神社を出発します。

乗尻は「左方(さかた)」「右方(うかた)」に分かれていますが、まず左方が上賀茂神社を出発します。

次に右方が上賀茂神社を出発します。

12:10頃に乗尻が藤木社付近に到着します。

藤木社に到着した一行はさらに、左方は太田神社の方へ、右方は上賀茂小学校の方へ分かれて移動し、それぞれその場で馬に騎乗します。

左方の集合場所です。藤木社からさらに太田神社の方へ行った所で集合します。

右方の集合場所です。藤木社から上賀茂小学校の方へ行った所で集合します。

12:15頃になると乗尻が馬に騎乗し、隊列を整えます。

12:20頃に騎乗した乗尻が続々と上賀茂神社に到着します。

11:15頃乗尻が着替え乗尻が庁屋で「菖蒲の根合の儀」から「賀茂競馬」の衣装に着替えを行います。
11:50頃上賀茂神社を出発「足洗いの儀(川立て)」を終えた馬と共に、乗尻が上賀茂神社を出発して「藤木社」「上賀茂小学校」の辺りまで移動します。
12:10頃藤木社付近に到着上賀茂神社を出発した乗尻が藤木社付近に到着します。
12:15頃馬立の儀乗尻が馬に騎乗します。左方は大田神社の前あたり、右方は上賀茂小学校の前あたりで馬に騎乗し、隊列を整えます。
12:20頃乗尻が上賀茂神社に到着騎乗した乗尻が上賀茂神社に到着します。

■賀茂競走の次第⑥「勧盃・勝栗の儀(かんぱい・かちぐりのぎ)」


再び庁屋に戻った乗尻は、先ほどまで「菖蒲の根合の儀」で庁屋に居ましたが、それはさておいて、今、初めて上賀茂神社に参陣したという体で到着を祝い、勧盃と縁起物の食事の接待(勝栗の儀)を受けます。

12:25頃勧盃・勝栗の儀(かんぱい・かちぐりのぎ)上賀茂神社に参陣したというていで到着を祝い、勧盃と縁起物の食事の接待(勝栗の儀)を受けます。

■賀茂競走の次第⑦「日形乗の儀」「月形乗の儀」


庁屋で接待を受けた乗尻が庁屋を出て、上賀茂神社の一ノ鳥居前で馬に騎乗します。(「日形乗の儀」「月形乗の儀」)
その後、馬を下りて徒歩で上賀茂神社に参進します。
庁屋を出たり入ったり、馬に乗ったり下りたりしますが、これらは儀式の為のようです。

参進した乗尻はこの後、上賀茂神社の本殿で「奉幣の儀」を行います。

13:00頃日形乗の儀・月形乗の儀一ノ鳥居前で乗尻が馬に騎乗する儀式です。
13:10頃奉幣の儀本殿前で行われる儀式で、一般参加はできませんが、初歩料を納めると参列することができます。

■賀茂競走の次第⑧「九折南下」


いよいよ馬が「埒内(馬場)」に入ります。
9回左右にジグザグに折れ曲がりながら馬が「埒内(馬場)」を歩きます。
これは馬にこれから走る「埒内(馬場)」を覚えさせるためです。

13:30頃九折南下馬に「埒内(馬場)」を覚えさせる為、北から南を9回ジグザグに折れ曲がりながら歩く儀式です。

■賀茂競走の次第⑨「警固衆の見回り」


警固衆が「埒内(馬場)」を見回り、馬が走るのに支障がないかを確認します。
警固衆は地元の子供たちが努めます。小さくも勇ましい警固衆が「埒内(馬場)」を見回る可愛らしい姿は必見です。

13:45頃警固衆の見回り警固衆が「埒内(馬場)」を見回り、馬が走るのに支障がないかを確認します。

■賀茂競走の次第⑩「三運・巴・小振の儀」


馬の性質を見る儀式で馬が埒内(馬場)を独特の方法で往復し、乗尻が馬の性格や癖、歩き方を確認する儀式です。
また、馬の状態を観客等に良く見せる場でもあり、現在の競馬で競走馬がパドックを歩くのと同様の意味がある儀式です。

14:15頃三運・巴・小振の儀「三運・巴・小振の儀」馬の性質を見る儀式で馬が埒内(馬場)を独特の方法で往復し、乗尻が馬の性格や癖、歩き方を確認する儀式です。

■賀茂競走の次第⑪「競馳(きょうち)」


「競馳(きょうち)」では、いよいよ競馬が行われます。
賀茂競馬では、まず左方(赤い衣装(舞楽の「打毬(だきゅう)」装束)の乗尻)が先に走り、それを右方(舞楽の「狛鉾(こまほこ)」装束)が追いかけ、追い抜くか、差が縮まれば右方の勝ち、差が縮まらなければ左方の勝ちという方法で行われます。

勝敗は「馬場殿」の前に組まれた物見櫓に審判が立ち、判定を行います。

走り終えた乗尻は審判の元を訪れ、勝敗の結果を訊きます。
勝てば「勝ちでござる」と言い渡され、白い襷(たすき)を貰います。負けると「お負けでござる」と言われ、引き分けの場合は「持(じ)でござる」と申し渡されます。

14:00競馳(きょうち)左方、右方の2頭の馬が「埒内(馬場)」を駆けて競馬を行います。

■賀茂競走の次第⑫「頓宮に勝利のご報告」


勝利した乗尻は襷(たすき)をかけ、頓宮におられる神に勝利の報告をします。

15:30頃頓宮に勝利のご報告勝利した乗尻は襷(たすき)をかけ、頓宮におられる神に勝利の報告をします。

■賀茂競走の次第⑬「記念撮影」


「競馳(きょうち)」が終わると、二ノ鳥居の前で全員で記念撮影をします。

15:45頃記念撮影二ノ鳥居の前で全員で記念撮影をします。

■賀茂競走の次第⑭「直会」


庁屋に戻った乗尻が、競馬が無事に終わったことを祝い、接待を受けます。

15:55頃直会競馬が無事に終わったことを祝い、乗尻が接待を受けます。

■賀茂競走の次第⑮「交流」


最後に乗尻の皆さんが一緒に記念撮影に応じてくださいます。

16:00交流乗尻の皆さんが記念撮影に応じてくださいます。

■基本情報


【賀茂競馬(かもけいば)】
 ◇日時
  ・2024年05月05日(日)
 ◇場所
  ・上賀茂神社(賀茂別雷神社)
 ◇拝観料
  ・無料
   ※有料観覧席あり
 ◇次回予定
  ・2025年05月05日(月祝)

【上賀茂神社(賀茂別雷神社)】
 ◇拝観時間
  ・08:00~17:00
 ◇拝観料
  ・無料

■アクセス


【上賀茂神社(賀茂別雷神社)】

 ◇所在地
  〒603-8047
   京都市北区上賀茂本山339番地
 ◇電車
  ・京都市営地下鉄:北大路駅より バス10分
  ・京都市営地下鉄:北山駅より バス10分
 ◇バス
  ・京都市バス:上賀茂神社前より 下車すぐ
 ◇車
  ・駐車場 あり(有料)

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